ピダハン
「ピダハン」
ダニエル・L・エヴェレット著 尾代通子訳
みすず書房 2012年
アマゾン奥地マイン川沿いに住む400人に満たない人々ピダハン。彼らの言葉には数や色、右・左などという単語がなく、創世神話や宗教も持たない。自分が見聞きした体験のみに重きを置き、その日その日を美しいピダハンの土地で生きることで絶対的な幸福を感じている。自分の価値観に合わない文明や外界からの知識は排除し、羨ましいと思うこともないらしい。自分のことは自分でやれという信念を貫いていて、子供でさえも子供扱いされない。祖先や祖父母を表す単語がないのは、彼らを実際に見たことがないから。
読んでいると、今まで当たり前だと思っていた常識が次々覆され、驚かされるとともに、この著者同様ピダハンの考え方の方が正しく理知的であり、より楽に生きることができそうだと思い始める。また、言葉を使ってコミュニケーションをとる際、いかに脆弱な根拠に基づいて話が通じていると思い込んでいたか考えさせられる。自分自身が幸福だと思う生活を自信を持って続けること、それに勝ることはないと感じた。
「南の植物」
「南の植物」
佐々木尚友・上原梓共著 光風館
奥付に昭和18年1月28日初版、19年10月5日再販2000部と記されていた。
定価2円、特別行為税相当額24銭、合計2円24銭。
特別行為税って何?と思って調べたら、国税庁のHPに
「特別行為税は、アジア・太平洋戦争末期の昭和18(1943)年から同21(1946)年にかけて、写真の撮影現像、調髪と理容美容などの整容、被服類の仕立てや染色・刺繍、書画の表装及び印刷製本といったものを「特別行為」として課税対象にしていた国税です。」
と説明されていた。
贅沢な行為からは税金とって戦費に当てるよということだったようだ。
しかし、この本は”大東亜共栄圏建設のため南洋の植物資源を大いに研究・開発するべく
日本の少国民に紹介した本”なので、当時の国の方針と合致していたように見受けられるが、
それでも税金はとられていたということなのだろう。
内容は結構専門的で、子供向けとは思えない充実ぶり。
「清水市江尻宮代町●●番地 ・・・・・(氏名)」という蔵書印が押されていた。
蔵書印を持っているということは、少国民というより大人が読んでいたのだろうか。
それともある程度裕福なおうちの子供のものだったのだろうか。
マーク・カヴェンディッシュ
マーク・カヴェンディッシュ著 児島修訳 未知谷 2012年
やんちゃで思ったことを口にしてしまう子供のような男。
敵も多いが憎めない奴という感じ。
仕方ないなと思いつつ、才能ある少年を助けてやっているチームメートたちという図式なのだろうか。
ツールドフランス2008の各ステージの経過とともに、
カヴェンディッシュへの親しみが増していく。