Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

一年中わくわくしてた

「一年中わくわくしてた」

ロアルド・ダール著 久山太一訳 クェンティン・ブレイク絵 評論社 2000年

 

ロアルド・ダールが英国の田舎に暮らしていた子供時代を振り返ったエッセイ。

1月から12月まで順番に四季の素晴らしさと当時の思い出を語っていく。

挿絵も素敵な愛らしい一冊。

牧羊犬シェップと困ったボス

「牧羊犬シェップと困ったボス」

マージョリー・クォートン著 務台夏子訳 東京創元社 2005年

 

アイルランドを舞台にしたほのぼのとしたお話。

牧羊犬シェップの一人称で語られる田舎の家族の様子が微笑ましい。

大きな事件が起こるわけでわないが、読んでいると癒される。

こんなとき私はどうしてきたか

「こんなとき私はどうしてきたか」

中井久夫著 医学書院 2007年

 

こんなとき私はどうしてきたか 中井 久夫(著) - 医学書院

 

精神科医として現場で重ねた経験を、医療従事者に語った講義録。

大変わかりやすく、興味深く読み進むことができる。

患者に対する接し方を話しているが、それは患者でない人と接する際にも通じる部分がある。

病院について話していることも同様で、社会一般に共通する内容だ。

名著である。

脱北者

脱北者」 韓元彩著  2002年

 

 

北朝鮮から三度逃げようとして、とうとう果たせぬまま同国内で殺された男の手記。度重なる拷問で廃人寸前になりながらも奇跡的に三度目の脱出に成功、韓国への亡命を目前にしながら強制送還されてしまった。同氏はその三日後に死亡、その妻は拷問の凄まじさに耐えかねて発狂してしまったという。

読んでいてひたすら暗くやりきれない気持ちになるひどい話だ。手記の終わりが脱北に成功したところで終わっているのが痛ましい。あれほど酷い目にあっても希望を捨てず、ようやく未来がひらけたかと思った時に全ての道が絶たれるとは。どんなに無念だったことだろう。

キーパー

「キーパー」

マル・ピート著 池央耿訳 評論社 2006年

 

キーパー Peet, Mal(著) - 評論社

 

サッカーのゴールキーパーが主人公の小説。

GK好きにはたまらない。

フィクションでありながら迫真の描写に引き込まれ

本当の話かと思ってしまいそうだ。

ベタなストーリーで、結末がわかっていても

読んで良かったと思える。

カイウスはばかだ

「カイウスはばかだ」

ヘンリー・ウィンターフェルト作 関楠生訳 岩波書店 2011年

 

作者はポンペイで行われた最近の発掘で

「カイウスはばかだ」と子供の手で落書きされた神殿の壁が出土したことから

インスピレーションを得てこの物語を書いたそうだ。

この一言からこんなにも楽しく謎に満ちたミステリーが紡ぎ出されたなんて驚き。

 

舞台はローマ帝国

神殿の壁に「カイウスはばかだ」と落書きした罪で友達のルーフスが牢に入れられてしまう。

彼を助けるために頭を絞り、奮闘する学校の仲間たちだが、謎は深まるばかり。

全く飽きさせない展開で、最後までワクワクしながら読了。

ローマ時代の学校がどんな風だったかはわからないが、ちょっとその時代にお邪魔したような気分になれた。

 

テロルの決算

「テロルの決算」 沢木 耕太郎著 文藝春秋 2008年

 

 

テロルの決算 沢木 耕太郎(著/文) - 文藝春秋

 

戦後の社会党や右翼についてよくわかる。

社会党委員長・浅沼稲次郎と、浅沼氏を刺殺した犯人・山口二矢

スポットを当てたノンフィクションの傑作。

二人の生い立ちから始まり、何かに手引きされるかのように

一点でぶつかり合う瞬間までを克明に記している。