Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

濹東綺譚

「濹東綺譚」 永井荷風

本編に加え、「作者贅言」(あとがき)がさらに面白い。

有名作家ってさすがだな〜と思った。

 

東京音頭が、昭和11年日比谷公園で催された盆踊りイベントのテーマ曲として作られたと、この本で初めて知った。実際は日比谷公園の角にある百貨店の広告で、その店で揃いの浴衣を買わないと入場できなかったというカラクリらしい。しかも、「東京市の公園で男女が舞踏をなすことは、これまで一たびも許可せられた前例がない」のだそうだ。

戦友の恋

戦友の恋」 大島真寿美著 角川書店 2009年

 

戦友の恋 大島 真寿美(著) - 角川書店 : 角川グループパブリッシング

 

親友を亡くした20代の女性が一人で生き、生活し続けていく様子を綴った連作短篇集。

頑張りたくないという気持に共感。

最後の方は40代になっているのではと思われる。

このくらいの年齢の人の、今までの人生に価値を見出せない感じと、

このまま何者にもならずに死ぬんだなという諦めと焦り、

でも今持っている荷物も捨てきれないくらいのまともさが、巧みに描かれている。

読書案内

「読書案内」 S.モーム著 岩波書店

 

モームが英仏米などの小説を若者向けに案内。言い方がいちいち面白い。

ヘミングウェイの小説を胸毛を生やした無頼漢のような散文と言ったり、

ヘンリー・ジェイムズは魂がけちくさいとさらっと言ったり。

魂がけちくさいってどういうこと???と思うが、

なかなか思いつかない表現で感心してしまった。

イモムシハンドブック

「イモムシハンドブック」

安田守著 文一総合出版 2010年

 

イモムシハンドブック

 

イモムシと一括りに言ってもこんなに色々な種類の虫がいるとは。

地味なヤツからえらく目立つ格好まで本当に様々。

一匹一匹よく見てみるとなかなか愛らしい。

ヒメキマダラヒカゲの幼虫なんてすごく可愛い顔だ。

原寸大カラー写真が載っており、見つけたイモムシと比べてみやすい。

この本を片手に森や野原に行ってイモムシたちと出あいたくなった。

オシムからの旅

オシムからの旅」

木村元彦著 理論社 2010年

 

イビチャ・オシムストイコビッチという旧ユーゴスラビアフットボール界の英雄への取材から始まった旅は、意外にも著者が住む日本へと帰ってくる。民族とは何かを問いかけ、この地球で様々な人間が生きていくことについて考えさせられる一冊。

 

たいした問題じゃないが:イギリス・コラム傑作選

「たいした問題じゃないが:イギリス・コラム傑作選」

行方昭夫編訳 岩波書店 2009年

 

たいした問題じゃないが : イギリス・コラム傑作選

 

20世紀初頭、ガードナー、ルーカス、リンド、ミルらの名エッセイをまとめた本。

今も昔も変わらないなあと感じる内容もある。

ガードナーとルーカスが面白かった。

しみじみ読むイギリス・アイルランド文学

「しみじみ読むイギリス・アイルランド文学」 阿部公彦編 松柏社 2007年

 

 

しみじみ読むイギリス・アイルランド文学 : 現代文学短編作品集 岩田 美喜(訳) - 松柏社

 

12の短編が収められているが、カズオ・イシグロフランク・オコナーが一番良かった。アイルランド出身の作家本人やその小説の登場人物達は、アイルランドから抜け出したくて仕方ない一方で、自らと分かちがたく結びついている故郷との絆を何度も確認してしまうようなところがある気がする。それを逆手にとった「ホームシック産業」(ヒューゴー・ハミルトン著)という短篇が載っていて、やっぱりと思った。