Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

奈落の底から見上げた明日

「奈落の底から見上げた明日」 照ノ富士春雄著 日本写真企画 2021年 ケガと病気で序二段まで番付を下げた照ノ富士。 復活し横綱に上り詰めるまでを語る。 彼を見守る親方や先輩力士、家族などのコメントが 差し挟まれた構成が効いている。 照ノ富士って頭の…

ピダハン

「ピダハン」 ダニエル・L・エヴェレット著 尾代通子訳 みすず書房 2012年 アマゾン奥地マイン川沿いに住む400人に満たない人々ピダハン。彼らの言葉には数や色、右・左などという単語がなく、創世神話や宗教も持たない。自分が見聞きした体験のみに重きを置…

「南の植物」

「南の植物」 佐々木尚友・上原梓共著 光風館 奥付に昭和18年1月28日初版、19年10月5日再販2000部と記されていた。 定価2円、特別行為税相当額24銭、合計2円24銭。 特別行為税って何?と思って調べたら、国税庁のHPに 「特別行為税は、アジア・太平洋戦争…

テディ・ゴー

「テディ・ゴー」 加藤実秋著 PHP研究所 クマのあみぐるみに宿ったベテラン刑事の魂。 暑苦しいオヤジだが操作の腕と刑事のカンはさすが。 日本語の乱れに厳しいところも好感が持てる。 シリーズ第1巻。

チャンネルファンタズモ

「チャンネルファンタズモ」 加藤実秋著 KADOKAWA オカルト専門チャンネル「チャンネルファンタズモ」を舞台にしたユーモアミステリー。 大手テレビ局のディレクターだった主人公が、オカルトに嫌気がさしながらも ソレ絡みの事件を解決していく。 ヤンキー…

マーク・カヴェンディッシュ

「マーク・カヴェンディッシュ」 マーク・カヴェンディッシュ著 児島修訳 未知谷 2012年 やんちゃで思ったことを口にしてしまう子供のような男。 敵も多いが憎めない奴という感じ。 仕方ないなと思いつつ、才能ある少年を助けてやっているチームメートたちと…

文壇よもやま話(下)

「文壇よもやま話」(下) 池島信平著 中央公論新社 2010年 井上靖が新聞小説を書く時は 万人が嫌な思いをしないように心がけていると言っていたのが印象に残った。 例えば、自分の父親が読んで不快になるようなテーマ(老醜とか)は書くべきじゃない、 それ…

ほとけの履歴書

「ほとけの履歴書」 薮内佐斗司著 NHK出版 2010年 せんと君の生みの親でもある彫刻家が奈良の仏像について易しく解説。 実際に行ったことのある所がたくさん出てきて楽しめた。 お経というのは、釈迦の言ったことを弟子がそれぞれに解釈してまとめたものらし…

ダンナ様はFBI

「ダンナ様はFBI」 田中ミエ著 幻冬舎文庫 2012年 元FBIの夫との結婚生活を描いたエッセイ。 ダーリンの意見は物事の核心をついている。 日常生活に役立つアドバイスも。 初対面の人には時間差で2回笑いかけろとか インタビューの最初にその人にしか答えら…

平常心を鍛える

「平常心を鍛える」 下園荘太著 講談社 2011年 自衛隊ストレスコントロール教官が明かす「試練を乗り切るための心の準備」が副題。 惨事の後のショックであるファーストショック、 時間が経ってから生じるセカンドショックへの準備と対応を教えてくれる。 と…

ショートケーキを許す

「ショートケーキを許す」 森岡督行著 雷鳥社 2023年 森岡書店代表の著者が名店のショートケーキを あふれる愛とともに紹介するエッセイ。 題名の「許す」が気になって手にとった。 その意味は、帝国ホテルのショートケーキについて書かれた箇所で明らかに。…

ネジマキ草と銅の城

「ネジマキ草と銅の城」 パウル・ビーヘル著 野坂悦子訳 福音館書店 2012年 銅の城に住む年老いたマンソレイン王とノウサギ。 弱ってしまった王を救うため、まじない師が薬草であるネジマキ草を探しに行く。 まじない師が戻るまで何とか王を元気付けなければ…

〈眠り〉をめぐるミステリー

「<眠り>をめぐるミステリー」 桜井武著 N H K出版 記憶に関する本を併読していたのでより楽しめた。 ノンレム睡眠は記憶を定着させ、レム睡眠は情動の強弱によって 記憶の重要性のタグをつけているのだそうだ。 夢は記憶の断片だという。 金縛りはレム睡…

変えてみよう!記憶とのつきあい方

「変えてみよう!記憶とのつきあいかた」 高橋雅延著 岩波書店 2011年 自分にとっての記憶のありようを変えることができるという話。 人との絆は同じ思い出を共有し、 それを一緒に思い出す機会を持つことでより深まっていくとか、 嫌な記憶はそれを思い出す…

デザインの作法

「デザインの作法」 松田行正著 平凡社 2018年 ブックデザインを中心に、「デザインとは」という問いに平易な言葉で答えている。 片仮名だらけのよくわからない文章は見受けられず、素人にもわかりやすい。

探偵ダゴペルトの

「探偵ダゴベルトの功績と冒険」 バルドゥイン・グロラー著 垂野創一郎訳 東京創元社 2013年 音楽と犯罪学を愛する高等遊民ダゴベルト。 友人のグルムバッハ夫妻宅の晩餐後、喫煙室で彼が解決した事件について語り出す。 もったいぶった喋り方に、聞き手の「…

子供達の階級闘争

「子供達の階級闘争」 ブレイディみかこ著 みすず書房 2017年 イギリスの底辺託児所で保育士として働く著者。 階級社会である上に、人種問題や経済格差などが加わり、 分断された社会が出来上がっている。 それが如実に反映されているのが低所得者層向けの保…

誰がアパレルを殺すのか

「誰がアパレルを殺すのか」 杉原淳一・染原睦美共著 日経BP社 2017年 買いたい服が見つからないと思っていた理由がわかった。 巷に溢れるブランドは、同じ会社が乱立させた 実は同じような服を打っている店だったのだ。 もちろんそうではない店もあるのだろ…

雨やどり

「雨やどり」 半村良著 新宿のバー「ルヰ」の主人を主役にした連作短編集。 古き良き時代の新宿を舞台に夜の世界を生き抜く男女の機微が描かれる。 少々古い感じもするが、レトロな魅力ということで、ドラマ化しても面白そう。

歩いてわかった地球のなぜ!?

「歩いてわかった地球のなぜ!?」 松本穂高著 山川出版社 2017年 自然地理学の視点で様々な土地の特徴的な現象を紐解いた本。 「渡り鳥はなぜ集まる」(朝鮮半島の38度線の歴史) 「ライオンはなぜ水を吐く」(シンガポールの水環境)など 地形や気象、歴…

明治の男子は、星の数ほど夢を見た

「明治の男子は、星の数ほど夢を見た」 和多利月子著 産学社 2017年 エルトゥールル号の義捐金をトルコへ届けたことをきっかけに 日本とトルコの架け橋となった山田寅次郎の伝記。 実の孫が実家に眠っていた資料などをもとに執筆した。 トルコが親日国家にな…

エルトゥールル号の遭難

「エルトゥールル号の遭難」 寮美千子著 磯良一共画 2013年 オスマントルコの軍艦が和歌山県沖で座礁したエルトゥールル号事件。 それをきっかけに生まれた日本とトルコの絆を、海に眠る船の視点で語る絵本。

父の詫び状

「父の詫び状」 向田邦子著 文藝春秋 2006年 エッセイの名手と言われている事を知ってはいたが、 実は一度も読んだがことなかった向田邦子。 標題作が冒頭に載っている。 伊勢海老をもらったエピソードで始まった回想が頑固だった父の思い出へと広がり、 最…

苦手の処方せん

「苦手の処方せん」 奥田弘美著 保健同人社 2011年 苦手な人への対処法として「チャラララッチャラーンという音楽を頭の中で鳴らす」というのがあって面白かった。「ライフゲージが20%upした」「聞き流すの魔法を覚えた」などととなえ、勇者への道を歩むら…

星を撒いた街

「星を撒いた街 上林暁傑作小説集」 上林暁著 夏葉社 2011年 月見草を切られた「花の精」は気持ちが良くわかる所と、意地悪すぎると感じる所があった。 「和日庵」の鳴海さんは全く知らない人なのに親しみが持てた。 「寿春自画像」は面白い。なんだかつい、…

もの思う葦

「もの思う葦」 太宰治著 新潮社 2002年 太宰治の散文集というか、つぶやきを集めたもの。志賀直哉の悪口を書きまくった「如是我聞」を読んだら、自分が赦されているような気になった。 もっと若い時に読んでいたら、共感したり心酔したりしていたのかもしれ…

第2図書係補佐

「第2図書係補佐」 又吉直樹著 幻冬舎よしもと文庫 又吉さんがお気に入りの本にまつわるエピソードを披露するエッセイ集。 感涙にむせんだり笑いすぎたり、とても外では読めない。 この本を読んでいる間は又吉さんと二人きりと思えるような一冊。 ページを開…

カレンダーの余白

「カレンダーの余白」 永井龍男著 講談社 昭和40年発行(44年6刷)の随筆集。 どれも味わい深い。 「近況」「カレンダーの余白」「人の印象」「応答一束」「身辺雑事」という タイトルで様々な雑誌や新聞に掲載されたものを大括りしている。 「近況」の中に…

恋愛書簡術

「恋愛書簡術」 中条省平著 中央公論新社 2011年 作家と恋人とのラブレターをもとに、恋の顛末を紹介している。 バルザックやアポリネールなどの文豪も恋すればただの人の一面が。 思わずクスッと笑ってしまう読み物だ。 それにしても一番激しかったのは最終…

ミステリーの系譜

「ミステリーの系譜」 松本清張著 中央公論新社 1975年 八つ墓村の元ネタになった津山30人殺しなど、 実際に起きた事件を書いたノンフィクションノベル。 いわれのない恨みを買って殺されてしまうことって 本当にあるんだな・・・と恐ろしくなった。 「肉鍋…