静かなる太陽
「静かなる太陽」
霧島兵庫著 中央公論新社 2020年
義和団の乱に際し、各国公使館のあった東公民港での籠城戦を
駐在武官・柴五郎陸軍中佐を中心に描いた小説。
私が柴五郎氏に関心を持ったきっかけは
「ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書」(柴五郎著)を読んだこと。
戊辰戦争での敗戦後、壮絶な少年時代をおくった柴氏の回顧録に胸を打たれた。
その柴五郎が主人公の小説と知り、
今まで読んだことのない霧島兵庫さんという作家の本作を手にとってみた。
ともすれば押し付けがましい感動物語になってしまいそうなシチュエーションを
上品に語ってくれていて、とても好感が持てた。
クラウゼヴィッツや信長の弟など、歴史上の人物が主役となっているらしい
他の作品も読んでみたくなった。
物語の後半、ハッとさせられた箇所がひとつ。
脇役である福島隊長が下した決断について
「今後は正しい道を選んだか否かということ以上に、
選んだ道を正解にする努力が求められるわけである。」
と書かれていたところ。
選択を誤ったのではないかと思い悩む前に
まず、それを正解だったと言えるように力を尽くすべき・・・
うーん、その通り。