Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

マルコヴァルドさんの四季

「マルコヴァルドさんの四季」

イタロ・カルヴィーノ著 関口英子訳 岩波書店 1977年

 

マルコヴァルドさんの四季 イタロ・カルヴィーノ(著/文) - 岩波書店

 

貧しい労働者で子沢山のマルコヴァルドさんの日常を綴る連作短編集。

都会の片隅でつましく暮らし、暗くなりがちな生活の中に、ほんのりと暖かくなるようなエピソードやほろ苦いお話を散りばめた秀作。

殺人者たちの午後

「殺人者たちの午後」 トニー・パーカー著 沢木耕太郎訳 2009年

 

殺人者たちの午後 Parker, Tony(著) - 飛鳥新社

 

死刑のないイギリスで終身刑となった殺人者だちに1対1でインタビュー。様々な人がいるが、人の命を奪ってしまった自分を一生許せない、他の誰かに許されようと自分はそのことを知っている・・・と苦しみ続ける受刑者が印象に残った。

夜会服

「夜会服」 三島由紀夫著 角川書店 2009年

 

社長令嬢の新婚生活をめぐる大したことのないストーリーを面白く書ける、さすが三島由紀夫。表現が秀逸で只者ではない。

嫉妬のことを、ガラス越しに蛾が自分に向かって無数に突進してくる様子にたとえた所がすごいな〜と思った。

奇縁まんだら

「奇縁まんだら」 瀬戸内寂聴著 日本経済新聞出版社 2008年

 

奇縁まんだら 瀬戸内 寂聴(著/文) - 日本経済新聞出版社

様々な作家との交友を綴った豪華絢爛な一冊。

赤裸々な暴露話をさらっと書いていて、

あの世から「ちょっと待った!」という声が聞こえてきそう。

今頃寂聴さんはみんなに取り囲まれているかも。

コスモポリタンズ

コスモポリタンズ」 サマセット・モーム著 龍口直太郎訳 筑摩書房 1994年

 

高級チョコレートのように小粒なのに満足感が高いショートストーリー集。字数制限のある雑誌で連載していた短編をまとめただけあって、無駄のない表現でどれも面白い。全部読んでしまうのが勿体無い感じがした。

英国陸軍式男の必修科目270

「英国陸軍式男の必修科目270」

英国陸軍著 阪急コミュニケーションズ 2009年

 

どうしてこれが必修なの?というスキルが目白押し。

ちょっと斜に構えた語り口がおかしみを増している。

ガムが髪についたらピーナッツバターを塗ると取れるらしい。

必修に「ペナルティーキックを決める」があるのは、さすがサッカーの母国。

「イエティを捕まえる」「縁日を制する」「鶏を眠らせる」などは、なぜあるのか謎。

聖母の贈り物

「聖母の贈り物」

ウィリアム・トレヴァー著 栩木伸明訳 国書刊行会 2007年

 

聖母の贈り物 Trevor, William(著) - 国書刊行会

 

アイルランド人作家の短編集。

暗いかもしれないが、力のある作品だ。

読み始めるとすぐにその世界にとらわれる。

小説ががっちりと私を捕まえて離さない。