ピダハン
「ピダハン」
ダニエル・L・エヴェレット著 尾代通子訳
みすず書房 2012年
アマゾン奥地マイン川沿いに住む400人に満たない人々ピダハン。彼らの言葉には数や色、右・左などという単語がなく、創世神話や宗教も持たない。自分が見聞きした体験のみに重きを置き、その日その日を美しいピダハンの土地で生きることで絶対的な幸福を感じている。自分の価値観に合わない文明や外界からの知識は排除し、羨ましいと思うこともないらしい。自分のことは自分でやれという信念を貫いていて、子供でさえも子供扱いされない。祖先や祖父母を表す単語がないのは、彼らを実際に見たことがないから。
読んでいると、今まで当たり前だと思っていた常識が次々覆され、驚かされるとともに、この著者同様ピダハンの考え方の方が正しく理知的であり、より楽に生きることができそうだと思い始める。また、言葉を使ってコミュニケーションをとる際、いかに脆弱な根拠に基づいて話が通じていると思い込んでいたか考えさせられる。自分自身が幸福だと思う生活を自信を持って続けること、それに勝ることはないと感じた。