Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

しみじみ読むイギリス・アイルランド文学

「しみじみ読むイギリス・アイルランド文学」 阿部公彦編 松柏社 2007年 12の短編が収められているが、カズオ・イシグロとフランク・オコナーが一番良かった。アイルランド出身の作家本人やその小説の登場人物達は、アイルランドから抜け出したくて仕方ない…

マルコヴァルドさんの四季

「マルコヴァルドさんの四季」 イタロ・カルヴィーノ著 関口英子訳 岩波書店 1977年 貧しい労働者で子沢山のマルコヴァルドさんの日常を綴る連作短編集。 都会の片隅でつましく暮らし、暗くなりがちな生活の中に、ほんのりと暖かくなるようなエピソードやほ…

殺人者たちの午後

「殺人者たちの午後」 トニー・パーカー著 沢木耕太郎訳 2009年 死刑のないイギリスで終身刑となった殺人者だちに1対1でインタビュー。様々な人がいるが、人の命を奪ってしまった自分を一生許せない、他の誰かに許されようと自分はそのことを知っている・…

夜会服

「夜会服」 三島由紀夫著 角川書店 2009年 社長令嬢の新婚生活をめぐる大したことのないストーリーを面白く書ける、さすが三島由紀夫。表現が秀逸で只者ではない。 嫉妬のことを、ガラス越しに蛾が自分に向かって無数に突進してくる様子にたとえた所がすごい…