Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

目からウロコの動物園

「目からウロコの動物園」 小宮輝之著 保育社 上野動物園飼育係の動物雑学エッセイ。 平成8年出版の本なのでトキのキンはまだ生きていた。 さまざまな動物が写真入りで紹介されている。 12月にソリを引くトナカイは角があるのでメスだろうという話は初め…

怪盗ニック登場

「怪盗ニック登場」 エドワード・D.ホック著 小鷹信光訳 早川書房 2003年 どんな仕事でも最低料金は2万ドル。 でも、大金や宝石など価値のあるものはお断りで くだらないものしか盗まないという泥棒ニック。 大リーグチーム「ビーバーズ」をそっくり盗む話…

サラマンダー ー無限の書ー

「サラマンダー ー無限の書ー」 トマス・ウォートン著 早川書房 2003年 カナダの作家の作品。日本で紹介されるのはこの本が初めてとのこと。 不思議な迷宮を歩くような小説。 「アラビアの夜の種族」が好きな人なら、これも好きなのでは。

使えない日本語

「使えない日本語」 放送批評懇談会 いれぶん出版 1976年出版当時の放送禁止用語および差別語に関する放送界の対応をまとめている。 差別語を言い換えても差別がなくならない限り、 その言い換え語もまたいつか放送禁止になっていくのではという危惧にうなず…

たるの中から生まれた話

「たるの中から生まれた話」 シュトルム 矢川澄子訳 福武文庫 1990年 「みずうみ」の作者による創作童話。 まえがきで粗製乱造されるファンタジーについて苦言を呈している。 1873年当時から、現代と同じことが言われているらしい。 いつの時代も似たような…

夢酔独言

「夢酔独言」 勝小吉著 勝部真長編 講談社学術文庫 2015年 勝海舟の父・小吉の自伝。 自らの半生を振り返り、子孫に自分を反面教師として 決して真似をするな!と伝えるために書かれた。 本当に好き放題でひどいことも多い。人の世話もかなりしているが、 と…

ギッシング短篇集

「ギッシング短篇集」 ギッシング著 小池滋編訳 岩波文庫 1997年 「ヘンリー・ライクロフトの私記」の著者ジョージ・ロバート・ギッシング (1857年〜1903年)が書いた短篇8つを選りすぐってまとめたもの。 迷いながら、自らの人生の櫂をうまく操れずにいる…

よろこびの日

「よろこびの日 ワルシャワの少年時代」 I.B シンガー著 工藤幸雄訳 岩波書店 2017年 ノーベル賞作家の自伝的小説。 第一次世界大戦前、ポーランドが三分割されていた時代のワルシャワが舞台。 当時のユダヤ人の生活が描かれる。 未知の世界に接するたびに新…

一千億の針

「一千億の針」 ハル・クレメント著 小隅黎訳 創元SF文庫 2016年 ゼリー状の異星人(捕り手)を体の中に住まわせることになった少年ボブ。 うまくいっていた共生関係はボブの体調不良という形で危機を迎えていた。 彼を治すため母性の異星人に連絡を取らねば…

20億の針

「20億の針」 ハル・クレメント著 鍛治靖子訳 創元SF文庫 2016年 宇宙からやってきた二隻の宇宙船が南太平洋に墜落した。 一隻に乗っていたのは探偵(捕り手)であり、もう一隻には犯人が乗っていた。 両者とも人間ではなくゼリー状の半透体の生物。 優れ…

東京の編集者

「東京の編集者 山嵩登さんに話を聞く」 夏葉社 2017年 元新潮社の編集者で版画家の山嵩登さんに聞き書きした作家達との思い出。 ご本人が撮った昭和の写真がたくさん。 静かな語り口が伝わってくる一冊。 しみじみ味わい深い。

台所重宝記

「台所重宝記」 村井弦斎著 村井米子編訳 平凡社 2001年 初版は明治8年。 今で言う家事のアイデア帳といったところ。 私の知識不足で、現代では何のことかわからない部分もあるが へぇーっと思わせるコツが満載。 当時の常識がどんなものだったのかがわかる…

秘密の手紙0から10

「秘密の手紙0から10」 シュジー・モルゲンステルン著 河野真理子訳 白水社 2002年 10歳の少年エルネストは、おばあさんと二人、味気ない暮らしを送っていた。 そこに現れた同い年の少女ヴィクトワールはひと目見て彼を将来の夫と決めてしまう。 十三人き…

水と原生林のはざまで

「水と原生林のはざまで」 シュヴァイツェル 岩波書店 あの有名なシュバイツァー博士のアフリカでの医療の記録である。 そもそも、この本を読む前に「シュワイツァー」(山室静 旺文社文庫 昭和41年)を見つけ、著者のまえがきにほろりときて購入。本当に偉…

ファンタスティックな恋の話

「ファンタスティックな恋の話」 くもん出版 1989年 「幻想文学館」というシリーズのうちの一冊。 「著名な作家による幻想的な文学作品(怪奇・恐怖・悲劇・ミステリアスな物語)を テーマ別に編集」とあった。 ファンタスティックというタイトルから かなり…

理系アナ桝太一の生物部な毎日

「理系アナ桝太一の生物部な毎日」 桝太一著 岩波ジュニア新書 2014年 気持ちのやり場がない時に、理不尽=道理に合わないと考えてしまうが 「この世界はすべて自然の道理にしたがって回っているわけで その道理に合わないことなんて一つもあるわけがない」…

石の血脈

「石の血脈」 半村良著 角川文庫 昭和50年発行(53年7版) 近所の古本屋でちょっと立ち読みしたら、思いがけず面白かったので買った1冊。 576ページの長編だが飽きさせない。 古代アトランティスの謎、犬神憑き、吸血鬼伝説などの影の部分が 現代社会の…

十二人の踊る姫君

「十二人の踊る姫君」 アーサー・クィラ・クーチ編 カイ・ニールセン絵 岸田理生訳 新書館 1994年 表題作のほか「ロザニー姫と浮気な王子さま」「笑わぬ男」 「ロシア皇后のスミレ」の四作から成る妖精物語集。 デンマークの挿絵画家カイ・ニールセンによる …

亡命ロシア料理

亡命ロシア料理 P.ワイリ、A.ゲニス著 沼野充義ほか訳 未知谷 2014年 アメリカに移住したロシア人文芸評論家による料理エッセイ。 故郷の味を懐かしみつつ、祖国への愛と欧米への嫌味を ふんだんに散りばめてレシピを紹介してくれる。 品が良くてユーモアが…

「愛」 井上靖著 角川文庫 2008年 恋愛をテーマにした短篇小説集。 若くして妻を亡くし独身を貫く男が、 二人で行った箱根旅行を回想する「結婚記念日」。 他人から見れば吝嗇家の妻とのつまらない一日のようだが、 その日に感じた妻への愛は小さな灯となっ…

テーオバルトの騎士道入門

「テーオバルトの騎士道入門」 斉藤洋著 理論社 1991年 「かに座の男は竜の涙を手に入れないと一人前の騎士になれない」 騎士道入門に書かれた言葉を信じ、 龍退治の旅に出たテーオバルトと家来ハンス。 2人を待ち受けるのは・・・? ユーモラスで優しい童…

瀕死の森、勇士の槍

「瀕死の森、勇士の槍」 ジョー・ケイン 新潮社 1999年 エクアドルのオリエンテ地方に居住するウアオラニー族。 石油採掘のために彼らの土地を破壊し奪おうとする米国企業。 ”野蛮”なのはどちらか、真の幸福とは何かを問うノンフィクション。

害虫殲滅工場

「害虫殲滅工場ーミバエ根絶に勝利した沖縄の奇蹟」 小林照幸著 中央公論新社 1999年 夏になると、我が家の食卓によく登場するゴーヤ。 あの苦味が、暑い時でも食欲をそそる。 今ではすっかりおなじみの野菜だが、 沖縄産のゴーヤが本州に上陸できるようにな…

朱鷺の遺言

「朱鷺の遺言」 小林照幸著 中央公論社 1998年 佐渡のトキ保護に尽くした佐藤春雄氏を中心に、 トキ保護センター職員でもあった高野高治氏、 最後のトキ「キン」の餌付けをした宇治金太郎氏など 地元の人々の地道な努力を綴る。 彼らのトキへの愛と、無念さ…

ブックライフ自由自在

「ブックライフ自由自在」 荒俣宏著 集英社文庫 1997年 古書コレクターである著者の本集めの日記。 1986年1月から1991年2月にわたり、 稀覯本への憧憬と、実際の購入にまつわるエピソードが語られる。 それにしてもすごいのは、日記の最初の日の章で すで…

一日江戸人

「一日江戸人」 杉浦日向子著 新潮文庫 2005年 江戸の人々の生活をテーマごとに面白く紹介している。 例えば「銭湯」について。 当時の銭湯は全国的に混浴で、江戸もそうだったが、 「寛政3年(1791年)に硬派の執政・松平忠信がこれを禁じ」ると、 「…

マイロ・スレイドにうってつけの秘密

「マイロ・スレイドにうってつけの秘密」 マシュー・ディックス著 高山祥子訳 創元推理文庫 2018年 ジャムの瓶を開けてポンッと音を聞く、ボウリングでストライクを出す、自分の頭に浮かんだ単語を他人の口から言わせる(それも自然な会話の中で)。 様々な”…

底抜けビンボー暮らし

「底抜けビンボー暮らし」 松下竜一著 講談社文芸文庫 2018年 年収200万円に満たない作家の随筆集。13歳年下の妻・洋子との貧しさを全く感じさせない幸せな日々。貧乏暮らしを目前にした私にとって、良い教科書になりそうだ。 21年前にこの本を読んだ…

川が死で満ちる時

「川が死で満ちる時 環境汚染が生んだ猛毒プランクトン」 ロドニー・バーカー著 大木奈保子・渡辺正隆訳 草思社 1998年 有毒渦鞭毛藻類フィエステリアの発見と、その被害について明らかにしたノンフィクション。魚を殺し、人体にも害を与えていたのが小さな…

りこうすぎた王子

「りこうすぎた王子」 アンドリュー・ラング作 福本友美子訳 岩波少年文庫 2010年 両親が洗礼式に妖精たちを招待しなかったばかりに、機嫌を損ねた年寄り妖精から「りこうすぎる王子になる」という贈り物をされてしまったプリジオ王子。あまりにも利口で他人…