Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

仰臥漫録

「仰臥漫録」 正岡子規著 角川ソフィア文庫 2009年 病床にありながら物凄い食欲で、食べ続けている。 ココアや刺身など結構贅沢だ。 看病してくれている妹の律を手ひどく批判し、自らを顧みない。 家族は本当に大変だったろう。 しかし、本人も凄まじい痛み…

友情

「友情」 武者小路実篤著 新潮文庫 タイトルだけはずっと前から知っていたが、全く手に取ることのなかった作品。 なぜか家の本棚に古びた文庫本があった。 国語の教科書で題名と作者だけ出てくるような小説って、 実際今読んだらどうなのかなとやや懐疑的に…

たった一人の30年戦争

「たった一人の30年戦争」 小野田寛郎著 東京新聞出版局 1995年 フィリピンのルパング島で、終戦を知らず 30年間戦争を継続していた小野田少尉の自伝。 思い違いが正されぬままに、ひたすら真実から遠ざかっていく過程は悲しくやりきれない。 こんな30年をお…

グランヴィル 花の幻想

「グランヴィル 花の幻想」 グランヴィル画 ドロール著 谷川かおる訳 荒俣宏解説 八坂書房 1847年にパリで出版された花のメルヘン。 妖精に頼んで人間にしてもらった花たちが 人間世界で様々な人生を歩み、再び妖精の花園に戻って 花として暮らすという物語…

まっとうな経済学者の「お悩み相談室」

まっとうな経済学者の「お悩み相談室」 ティム・ハーフォード著 武田ランダムハウスジャパン 2010年 フィナンシャルタイムズ紙の人気連載コラム。 様々な人生相談に”経済学的に”回答したもの。 「ビキニラインのお手入れの費用対効果は?」 「早い出社と遅い…

そうか、もう君はいないのか

「そうか、もう君はいないのか」 城山三郎著 新潮文庫 2010年 最愛の妻を癌で亡くし、抜け殻のようになった作家は 妻との日々を回想し書き残しつつあった。 しかし、彼自身もおそらくその途中で亡くなる。 妻の死から7年、その不在と共に生き続けねばならな…

詩ってなんだろう

「詩ってなんだろう」 谷川俊太郎著 筑摩書房 2001年 詩って何?という問いに、詩をもって答えた本。 谷川氏の書いた”詩の見取り図”を元に 彼の考え方の道筋に沿って詩を集め配列してあるのだと、あとがきにあった。 なるほど詩って広いんだなと感じる一冊で…

詩の玉手箱

「詩の玉手箱」 三木卓編・解説 読売新聞で若者向けに連載されていた 「三木卓さんと詩を読もう」を中心に構成された詩のアンソロジー。 最初のページに詩と挿絵が、次のページに同氏による解説が書かれている。 詩について、全然わからなくても大丈夫。 様…

川端康成・三島由紀夫往復書簡集

「川端康成・三島由紀夫往復書簡集」 新潮社 2000年 面白い。 10代の東大生・平岡公威から文豪・川端康成への憧れに満ちた手紙に始まり 三島が作家となり名を成して、やがて死を決意するに到るまでの2人のやりとり。 文学談義から身近な話題まで、親密さが…

アー・ユー・テディ?

「アー・ユー・テディ?」 加藤実秋著 PHP文芸文庫 フリマで一目惚れしたあみぐるみのクマを買って帰ると クマには殉職したオヤジ刑事の魂が宿っていた。 刑事(クマ)と共に未解決事件の究明に乗り出すが・・・。 今時の若者という感じのフリーター少女が主…

ガス状生物ギズモ

「ガス状生物ギズモ」 マレー・ラインスター著 永井淳訳 東京創元社 1969年 原因不明で人や動物が死んでいく。 正体不明の何かに襲われているようだが・・・。 よくあるパニック映画みたいなのに結構引き込まれて 最後まで読んでしまう。 結局ギズモの正体は…

奇妙なはなし

「奇妙なはなし アンソロジー人間の情景」 文藝春秋 すごく凝って作られたアンソロジーだと思う。 「たんぽぽ娘」を以前読んだ時はあまり印象に残らなかったが 結婚生活を10年以上経験してから読むと、とても心に響く。 「足あと」(チャペック)が面白い…

アイルランド・ストーリー

「アイルランド・ストーリー」 ウィリアム・トレヴァー著 栩木伸明訳 国書刊行会 アイルランド人作家トレヴァーの短編集。翻訳者が独自に編んだ日本での2作目。 アイルランドを舞台にしたバラエティー豊かな短編12編が詰まっている。 それぞれの作品が醸…