「そうか、もう君はいないのか」
城山三郎著 新潮文庫 2010年
最愛の妻を癌で亡くし、抜け殻のようになった作家は
妻との日々を回想し書き残しつつあった。
しかし、彼自身もおそらくその途中で亡くなる。
妻の死から7年、その不在と共に生き続けねばならない寂しさから
図らずも救われることになったのだ。
この本は没後に発見された原稿をまとめたものだという。
作品としての完成度については、本人がどう思うかはわからない。
しかし、この文章を妻の死後、一人きりで書き進めている作家の気持を思うと
胸がしめつけられる。