Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

りこうすぎた王子

「りこうすぎた王子」 

アンドリュー・ラング作 福本友美子訳 岩波少年文庫 2010年

 

両親が洗礼式に妖精たちを招待しなかったばかりに、機嫌を損ねた年寄り妖精から「りこうすぎる王子になる」という贈り物をされてしまったプリジオ王子。あまりにも利口で他人の気持ちがわからないせいで嫌われ者になってしまう。ところが、イギリス大使の娘ロザリンドに出会い、恋に落ちてからは一変。王国を困らせていた、火を吹く竜ファイアードレイクを退治に出かけ・・・・。

 

物語の舞台は架空の国パントウフリア。王家の居間に飾られているご先祖様の肖像画には、お祖母様のシンデレラ、当時のお姫様と結婚したカラバ侯爵(王座にはかの有名なネコが長靴を履いて座っている)など有名人が。魔法のじゅうたんや千里ぐつのような物語でおなじみの小道具をがちょこちょこ登場するのも楽しい。

 

たくさんの昔話や伝説を収集したラング。「ももいろの童話集」「あおいろの童話集」といった色の名がついたラングの童話集が、子供の頃大好きだった。今回、本当は全く別の本を探していて、偶然この物語に出あうことができた。幼い時に読んでも面白かったと思うが、大人だからこそニヤリとできるところもある。なんと言ってもこの物語の結末には、年を重ねた人ほど「賢い!」と唸らされるだろう。