Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

「愛」 井上靖著 角川文庫 2008年

 

恋愛をテーマにした短篇小説集。

若くして妻を亡くし独身を貫く男が、

二人で行った箱根旅行を回想する「結婚記念日」。

他人から見れば吝嗇家の妻とのつまらない一日のようだが、

その日に感じた妻への愛は小さな灯となって男の心の奥をあたためている。

夫婦の幸せは何気ない日常にあると再認識させてくれる。

 

「石庭」は新婚旅行で訪れた竜安寺石庭が舞台。

美しい若妻の隣で、同じ場所で起きた昔の恋にまつわる事件を思い出す夫。

予想外の結末に新鮮な驚きを感じた。