20億の針
「20億の針」
ハル・クレメント著 鍛治靖子訳 創元SF文庫 2016年
宇宙からやってきた二隻の宇宙船が南太平洋に墜落した。
一隻に乗っていたのは探偵(捕り手)であり、もう一隻には犯人が乗っていた。
両者とも人間ではなくゼリー状の半透体の生物。
優れた知性と感覚を持っているが、宿主を持たないと生きていけない。
探偵は聡明な少年に寄生し、犯人は別の誰かの中にいるらしい。
この地球上の誰に寄生しているのかを探し出すのは至難の技。
設定が面白い上に少年と異星人(捕り手)の会話が微笑ましい。
探偵側の異星人は真面目で知的。どんどん好きになる。
この物語の続編「一千億の針」では、捕り手と宿主の少年とのその後が描かれるが、
捕り手の持つ魅力は変わらない。
(私が実際に読んだ本は1965年版創元推理文庫で、表紙に落下する飛行物体と謎の生物らしきものが描かれていた。翻訳者が違うと印象が異なるかもしれないが、現在手に入るものとして上記の文庫を挙げた)