Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

十二人の踊る姫君

「十二人の踊る姫君」 

アーサー・クィラ・クーチ編 カイ・ニールセン絵 岸田理生訳 新書館 1994年

 

表題作のほか「ロザニー姫と浮気な王子さま」「笑わぬ男」

「ロシア皇后のスミレ」の四作から成る妖精物語集。

デンマークの挿絵画家カイ・ニールセンによる

繊細で華やかな挿絵が、物語の世界を一層浮かび上がらせてくれる。

 

「ロシア皇后のすみれ」を最初に読んだ時、

ほのぼのとした素敵な話だと思った。

今でもその印象は変わらないけれど、

職場でなんとなく行われている仕事が、実は当初の意味が全く失われていて

もはや必要のない無駄な手間がでしかなかったという経験をするたびに

この物語を思い出す。

ルーティーンワークでの違和感やマニュアルに定められた謎の決まりに接すると

「それって”ロシア皇后のすみれ”じゃないよね」と疑う癖がついた。