Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

パイロットが空から学んだ危機管理術

パイロットが空から学んだ危機管理術」

坂井優基著 インデックス・コミュニケーションズ 2006年

 

 

パイロットが空から学んだ危機管理術 坂井 優基(著) - インデックス・コミュニケーションズ

 

元国際線機長が経験から得た、ミスや事故を防ぐためのアドバイスが満載。

感覚としてなんとなくわかっていたようなこともあるが、

それを明文化し、具体例を示して解説してくれている。

なるほどと思わされる新たな発見もある。

読みながら、役立ちそうなビジネス書だなあと感じていたが、

その後、実際に仕事場で参考にさせてもらったことが大いにあった。

 

 

印象に残ったアドバイスを沢山メモしたが、その中のいくつかをあげてみる。

 

現場リスク編

・善意は時として人を殺す

・判断に感情を持ち込んではいけない

・迷ったら安全サイドに舵を取ろう

・なんとなく変だと思ったら必ず確認しよう

・「だろう」で行動してはいけない

・人間は割り込みに弱い

・体調が悪い時ほど必要最小限のオペレーションで

・将来やらなければいけないことは可能ならすぐやってしまおう

・内なるマッチョに対抗しよう

 

「善意は〜」については実例を見ないとピンとこないかもしれないが

他のことは当たり前のようでいて、なかなか徹底できない。

「あれなんか気になるな・・・でも、いつもやってくれているから

大丈夫だろう」なんていう時こそ、本当にミスが勃発するのだ。

 

中間管理職編

・「もっと」はどこかで止めないと事故になる

・2つ以上のパラメータを同時に変えてはいけない

・言い訳は有用

・主観的なリポートこそ役に立つ

・かけ声情報禁止

・対策には期限を明示すること

 

「言い訳は有用」「主観的な・・・」は一見意外だが、

実行してみて効果があった事の一つ。

チーム内でミスが起きた際、本人に思いっきり言い訳をさせて

どんな思考や手順を踏むとミスが起こるのか分析したほうが良いということらしい。

確かに「言い訳するな」で済ませたら、ミスの背景にあるスタッフの考え方のクセや

陥りやすい罠にいつまでも気づけない。

いくらきちんと指示しても、いつまでたってもその通りにできない・・・という時や、

こんなことをするとは信じられない・・・という時、

叱る前に、相手に「だって〜だったんだもん」と思う存分言わせてみると

再発防止の鍵が見つかることがある。

指示をしていたつもりでも、そこから言わないとダメだったのかとか

原則を理解してもらって応用すればよいというやり方では全く適応できない人もいるとか

後述する「仕組で解決できていない」ケースをあぶりだせるのだ。

 

トップマネジメント編

・事が起きたらチームで対応しよう

・自主報告制度をつくろう

・行きすぎた規制緩和は人を殺す

・問題はシステムで解決しよう

 

一番印象に残ったことは、仕事の質を保つのに

仕組ではなく個人の注意力や勤勉さに頼りすぎることの危うさだ

日々実感はしていたが、はっきりと言葉にしてまとめてくれると

本当にそうだよなとうなずける。

そうは言っても、結局いい仕事を支えるのは

仕組プラス個人の資質というのが事実。

そのバランスが難しいのだと思う。