Coataroの読書ときどきヒトリゴト

本を読んで感じたことなどを記しています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

小鼠ニューヨークを侵略

「小鼠ニューヨークを侵略」 レナード・ウイバーリー著 清水政二訳 東京創元社 1976年 コメディ映画にしたら面白そう・・・と思ったらすでに映画化されているらしい。 ヨーロッパの小国がアメリカに宣戦布告し、 結果的に世界平和をもたらすというファンタジ…

飛ぶ教室

「飛ぶ教室」 ケストナー著 丘沢静也訳 光文社 2006年 タイトルだけは知っていたのに、ずっと読まずにいたが、驚きの名作だった。 ギムナジウムの少年たちの一生懸命さが胸をうつ。 美しく切ない姿は正視できないくらいだ。 電車の中で読んで涙をこらえるの…

一年中わくわくしてた

「一年中わくわくしてた」 ロアルド・ダール著 久山太一訳 クェンティン・ブレイク絵 評論社 2000年 ロアルド・ダールが英国の田舎に暮らしていた子供時代を振り返ったエッセイ。 1月から12月まで順番に四季の素晴らしさと当時の思い出を語っていく。 挿…

牧羊犬シェップと困ったボス

「牧羊犬シェップと困ったボス」 マージョリー・クォートン著 務台夏子訳 東京創元社 2005年 アイルランドを舞台にしたほのぼのとしたお話。 牧羊犬シェップの一人称で語られる田舎の家族の様子が微笑ましい。 大きな事件が起こるわけでわないが、読んでいる…

こんなとき私はどうしてきたか

「こんなとき私はどうしてきたか」 中井久夫著 医学書院 2007年 精神科医として現場で重ねた経験を、医療従事者に語った講義録。 大変わかりやすく、興味深く読み進むことができる。 患者に対する接し方を話しているが、それは患者でない人と接する際にも通…

脱北者

「脱北者」 韓元彩著 2002年 北朝鮮から三度逃げようとして、とうとう果たせぬまま同国内で殺された男の手記。度重なる拷問で廃人寸前になりながらも奇跡的に三度目の脱出に成功、韓国への亡命を目前にしながら強制送還されてしまった。同氏はその三日後に死…

キーパー

「キーパー」 マル・ピート著 池央耿訳 評論社 2006年 サッカーのゴールキーパーが主人公の小説。 GK好きにはたまらない。 フィクションでありながら迫真の描写に引き込まれ 本当の話かと思ってしまいそうだ。 ベタなストーリーで、結末がわかっていても 読…

カイウスはばかだ

「カイウスはばかだ」 ヘンリー・ウィンターフェルト作 関楠生訳 岩波書店 2011年 作者はポンペイで行われた最近の発掘で 「カイウスはばかだ」と子供の手で落書きされた神殿の壁が出土したことから インスピレーションを得てこの物語を書いたそうだ。 この…

テロルの決算

「テロルの決算」 沢木 耕太郎著 文藝春秋 2008年 戦後の社会党や右翼についてよくわかる。 社会党委員長・浅沼稲次郎と、浅沼氏を刺殺した犯人・山口二矢に スポットを当てたノンフィクションの傑作。 二人の生い立ちから始まり、何かに手引きされるかのよ…

博士の愛した数式

「博士の愛した数式」 小川洋子著 新潮社 2003年 全て失われることを前提に書かれているため 読んでいる間中、かすかな胸の痛みにさいなまれ続ける。 ”未亡人”の立場で読むと、究極のラブストーリーでもある。 永遠に愛し続けてくれているものの、その愛の対…

学問のすゝめ

「学問のすゝめ」 福沢諭吉著 有名な一冊だが、私の印象に残ったのは 人間社会で一番怖いのはひがみ根性であり、 それが起こるのは人間の自由を束縛するからだという主張。 極端な言いっぷりがおかしいが、うなずける所も多い。

あたまをつかった小さなおばあさんがんばる

「あたまをつかった小さなおばあさんがんばる」 ホープ・ニューエル著 松岡享子訳 福音館書店 2019年 子供の頃「あたまをつかった小さなおばあさん」を楽しく読んだ。 本書は冬の間ひと休みしたおばあさんが 春の仕事に取り掛かるという続編。 大人になって…

石の葬式

「石の葬式」 パノス・カルネジス著 岩本正恵訳 白水社 2006年 ギリシアの田舎町、個性的な村人達が主人公の連作短編集。 ハッピーな話はないのだが、最後に色んな意味で”一掃”されてしまい 読後感は悪くない。 映像化した作品を見てみたくなった。 これがデ…

ぼくのともだち

「ぼくのともだち」 エマニュエル・ポーヴ著 渋谷豊訳 白水社 2013年 友達を求めて彷徨う青年の独白。 すごく嫌なヤツだが 「こうなったらどうしよう」「こうだったらいいのに」という想像が極端なだけで 誰もが似たような思いにかられることがあるのではな…

おとぎ話の忘れ物

「おとぎ話の忘れ物」 小川洋子著 ポプラ社 2012年 世界中の遺失物管理所から拾ってきたおとぎ話を集めた移動図書館。 スワンキャンディーというキャンディー屋の奥にあるという。 そこを訪れる人はキャンディーを一粒口に入れ、ゆっくりと本を読む。 羨まし…

脱出記

「脱出記」 スラヴォミール・ラウイッツ著 海津 正彦訳 ソニー・マガジンズ 2005年 「シベリアからインドまで歩いた男たち」と副題にあるように シベリアの捕虜収容所から脱走し、1年歩き続けてインドにたどり着いたポーランド人の手記。 ゴビ砂漠もヒマラヤ…

独裁者との交渉術

「独裁者との交渉術」 明石康著 木村元彦インタビュー・解説 集英社 2010年 信頼する書き手・木村元彦氏のインタビュー。 カンボジアPKO、ユーゴスラビア紛争、 スリランカ問題における明石氏の仕事について尋ねた。 とにかく頭が良く知識がある人同士の会話…

ぼくは死んでいる

「ぼくは死んでいる」 フィリップ・ベッソン著 稲松三千野訳 早川書房 2005年 死んでしまったぼく(ルーカ)、その恋人のアンナ、 男娼でルカのもう一人の恋人レオの三人がそれぞれ一人称で語り続ける小説。 ルーカはフィオレンティーナのサポーターだったら…

ブライヅヘッドふたたび

「ブライヅヘッドふたたび」 イーヴリン・ウォー著 吉田健一訳 筑摩書房 1990年 うっとりするような文章があって心に残った作品。 セバスチアンの滅びゆく美少年ぶりも魅力的。 彼の台詞を間近で聞いたらきっと恋してしまうことだろう。 「・・・車と、苺が…

人間の顔は猿よりこわい

「人間の顔は猿よりこわい 高校生創作名言633選」 都立一橋高校名言研究会 ベストセラーズ 1996年 「意志の弱い人ほど物に頼る」 「ちゃんとした意志があれば足どりも軽くなる」 「あせるとあせることしかできない」 「腹が立ったら寝るのが一番」 「勇気の…

「ママは何でも知っている」

「ママは何でも知っている」 ジェイムズ・ヤッフェ著 小尾芙佐訳 早川書房 刑事の”僕”が解けない謎を、ママに話すとあっという間に解決してしまう。 安楽椅子探偵もの。 実際に執筆されたのは結構昔なのに、とても現代っぽい。 嫁と姑のやりとりが面白い。

眠る前に読む短いエッセイ

「眠る前に読む短いエッセイ」 ペーター・バヘーア著 畔上司訳 草思社 2005年 ドイツの週刊新聞ヴェルト・アム・ゾンタークに連載されたコラムをまとめたもの。 ドイツではほぼ毎年刊行され、この本が書かれた当時で10冊にもなっているという。 読みやすく、…

ディナモ

「ディナモ ナチスに消されたフットボーラー」 アンディ・ドゥーガン著 千葉茂樹訳 晶文社 2004年 涙・・・。 ヨーロッパのクラブチームが背負っているものの重さは日本とは桁違いだ。 ウクライナにこんな不幸な歴史があったことを、恥ずかしながら初めて知…

ロシア・サッカー物語

「ロシア・サッカー物語」 大平陽一著 東洋書店 2002年 ロシアサッカーの歴史がわかる一冊。 63ページしかないブックレットだが、よくまとまっており面白い。 欧州CLに出てくるロシアやウクライナのチームの背景に こういう歴史があったことを知ることができ…

裏本時代

「裏本時代」 本橋信宏著 飛鳥新社 1996年 1980年代、裏本制作の現場から、写真週刊誌スクランブルの創刊と廃刊までを綴ったノンフィクション。後にAV監督村西とおるとして一世を風靡する人物の横顔を克明に描写しつつ、著者が経験した嵐のような日々を鮮や…

白鹿亭綺譚

「白鹿亭綺譚」 アーサー・C・クラーク著 早川書房 1980年 ロンドンの裏通りにあるパブ「白鹿亭」で 水曜の夜に繰り広げられる嘘のような話の数々。 SFホラ話集。ラストがなかなか良い。

一流ビジネスマンはなぜ、くさくないのか?

「一流ビジネスマンはなぜ、くさくないのか?」 村井千尋著 実業之日本社 2018年 タイトルだけ見て、よくあるチャラいビジネス本かなと思ったが パラパラめくると香りについてフォーカスした、あまり類を見ない内容。 読んでみたら、今まで知らなかった香り…

骨董屋ピンクス

「骨董屋ピンクス」 デニー・ピンクス著 ミルトス 1994年 イスラエルで骨董商を営む著者が実際に体験したり見聞きしたエピソード。 味わい深い短編集。

中継ステーション

「中継ステーション」 クリフォード・D・シマック著 山田順子訳 早川書房 2015年 アメリカの片田舎にひっそり暮らす老いた男。 実はその家が銀河宇宙の中継ステーションの役割を担っている。 SFでありながらファンタジーでもあり、平和な物語でもある。 とて…

愛されすぎたぬいぐるみたち

「愛されすぎたぬいぐるみたち」 マーク・ニクソン著 金井真弓訳 オークラ 2017年 見開きでボロボロのぬいぐるみの写真と、 その持ち主の歴史やぬいぐるみとの関係が紹介されている。 皆、そのぬいぐるみがかけがえのない自分の一部であることを強く語ってい…